レンタルスペースに限らず実店舗を運営していると、トラブルや失敗はつきもの。
この記事では、レンタルスペース運営をしてきたこの5年間半で、実際に起こったトラブルや失敗談を包み隠さず暴露します。
トラブルに対しての適切な対処方法についても詳しく解説していきますので、レンタルスペース運営をしている方はもちろん、これから開業されたい方も参考にしてみてください。
振り返るとこの5年間半でいろんなトラブルがあったな
おまえ起き上がりこぼしみたいに立ち直り早いからよかったね
レンタルスペース運営で実際に起きたトラブル5選
2016年からレンタルスペース運営をはじめて、5年以上が経ちました。今は横浜、東京、大阪、福岡でレンタルスペースを運営していますが、これまでに実際に起きたトラブルについて暴露していきます。
ダブルブッキング
レンタルスペースを運営者として、ダブルブッキングはあってはならない最悪のトラブルです。
「何月何日何時にこのスペースを使いたい」と時間とお金をかけて予約をしてくれたお客さんが、予約した時間にスペースを使えないという。これは最悪です。
自分1人でそのスペースを利用するということであれば、その方が我慢すれば済むかもしれません。
でも誰かの誕生日をお祝いするためにスペースを予約してくれていた場合、せっかくのおめでたいイベントが台無しになってしまいます。
10人の参加者を集めてセミナーを開催する場合、わざわざ時間とお金をかけてセミナー会場まで足を運んでくれた参加者にどう謝罪すればいいでしょうか。
利用料を返金すれば解決ということにはならず、講師の立場だったとしたら、「どうにかして今すぐにセミナーを開催できる場所の手配をしてくれ」と思うはず。セミナー参加者全員に参加費を返金するのはもちろんですが、それだけでも収まらないはずです。
ダブルブッキングが起きる原因ですが、いくつかあります。
手動でスケジュール管理をしている場合
人間の手で予約入力をする場合、どんなにミスをしづらい人だったとしてもミスが起こる可能性があります。曜日を間違えたり、時間を間違えたり、複数店舗がある場合は店舗を間違えてしまったり。
ぼくのスペースは今はシステムを組んで予約管理をしていますが、開業当初は手動で予約管理をしていました。お客さんから「何月何日何時に予約したいです」という連絡が電話やメールできたら、ぼくがスマホからGoogleカレンダーにその予約を手動で入力します。
ただ、ぼくは人一倍ミスをしやすいタイプだったこともあり、カレンダー入力のミスを何度も起こしてしまうという。入力ミスは1度や2度では利きません。
ぼくの入力ミスが原因でダブルブッキングが起こってしまったことも数回ありました。
その際、お客さんに謝罪して最初に予約してくれた方に利用してもらうことに。あとから予約してくれたお客さんはその日にスペースを利用できないという、お客さんからしたら本当に最悪の事態です。
もちろんその日の利用料は全額返金、さらに次回の利用料を無料という対応をしましたが、お客さんとしては使いたかった日に使えなかったのでそれでも腹の虫は収まりません。
レンタルスペース運営する上で、ダブルブッキングだけは絶対にあってはならないトラブルなんです。
鍵のトラブル
鍵のトラブルとして
- 鍵の場所がわからない
- キーボックスが開かない
- 鍵がない
こんなトラブルがあったので1つずつ見ていきますね。
鍵の場所がわからない
「鍵ってどうやって開けるんですか?」とお客さんから問合せが来ることがあります。ただ、これはトラブルというより、お客さんがこちらの案内をちゃんと読んでくれていないがために起こること。
予約確定時に鍵の開け方についてのメールを自動で送るようにしていますが、それを見逃していることがほとんど。
まれに迷惑メールに入っていたり、お客さんがメールアドレスのスペルをミス入力してしまいメールが届かないなんてこともあります。
その場合、口頭で鍵の開け方をお伝えして完了です。
キーボックスが開かない
ぼくのスペースではアナログな方法で鍵を管理しています。
ホームセンターで売っているようなキーボックスで鍵を管理しています。
キーボックスの中に鍵を入れて、それを入口付近に設置する。ドアノブに引っ掛けるとセキュリティ的にどうかと思ったので、ガスメーターの扉の中に入れておく場合が多いです。
キーボックスの開け方は単純なので普通であれば開けられますが、たまに10代の若い女の子とかキーボックスに触ったことがないようなお客さんから「どうやって開けるんですか?」と問合せが来ることがあります。
ホームページに画像付きでキーボックスの開け方の案内をしていますが、読まない人は読まないんですね。
あとキーボックスの横にも画像付きで説明したラミネートを設置していますが、それでも読まない人は読まないんですね。
それと前にあったトラブルとして、鍵が中で引っかかってしまいキーボックスが開かないというトラブルがありました。
鍵にキーホルダーをつけていたんですが、キーボックスの大きさが鍵がギリギリ入るぐらいの大きさだったためキーホルダーがキーボックスのすき間に挟まってしまって、開かなくなるという。
キーボックスに衝撃を与えることでなんとか空きましたが、こういうトラブルが起きる可能性もあるんですね。
鍵がない
「キーボックスの中に鍵が入っていません」こんな問合せをいただいたことがありました。予備の鍵も用意していたので、そちらを使ってもらうように案内したところ「予備の鍵もありません」という。
ぼくがマスターキーを持っていますが、そのスペースは新大阪。ぼくが住んでいるのは横浜のためすぐには行けません。
そのお客さんは、鍵がないためにスペースを利用できないというとんでもない迷惑をかけてしまいました。
その日の予約を見るとほかにもいくつも予約が。このままだとスペースを利用できないお客さんが多発します。
結局、すぐに新幹線に乗って大阪まで行き、スペアキーを作って設置。同時に2つの鍵が紛失というのはおかしいと思い、警察に被害届を提出しました。
スペアキーを作ったり、警察に事情を説明したり、大阪に滞在していた数時間はバタバタでした。次の日に予定があったので夜の新幹線で横浜に戻るという、なかなかハードな日帰り旅。
予想通り、鍵が盗まれていたんですが犯人はなんと知り合い。同じエリアにレンタルスペースを出そうとしていたみたいで、ぼくのスペースが邪魔だったから嫌がらせをしたようです。
建物に監視カメラが設置されていたので、いずれは犯人を特定できるなぁと思っていましたが、罪悪感からぼくのほうに自首してきたので発覚しました。
これは特殊な例ではありますが、鍵がなくなるとお客様が入室できずに大変なことになってしまうため、予備の鍵を用意しておくことをおすすめします。(キーレックスに変えるとこういったトラブルもなくなりますね)
備品が壊れた(紛失、鏡が割れた)
一番多いトラブルかもしれません。
特にパーティールームで家具や家電など備品が多いスペースだと、このトラブルは多発します。
よく聞くのが
- ガラスのコップが割れた
- ホットプレートが焦げた
- Wi-Fiがつながらない
このあたりでしょうか。
もし備品が壊れていたり、紛失していたら次に利用されたお客さんに迷惑がかかってしまいます。
セミナーを開催するのに、モニターが壊れていてプレゼン資料が写せないなんて最悪です。
たこ焼きパーティーをしに来たのに、たこ焼き機が壊れているなんてのもツラい。
レンタルスペース利用料を全額返金したところで、お客さんとしては納得いかないかもしれません。
ぼくが運営しているのはダンスができるレンタルスタジオ。備品が少ないため、なくなったり壊れたりすることがかなり少ないです。
これまであったのが
- 音楽プレーヤーがBluetoothにつながらない
- イヤホンジャックがなくなった
- 鏡が割れた
音楽プレーヤーやイヤホンジャックは予備を用意していたり、買い直したとしても数百円から数千円程度。
ただ、鏡が割れたときは大変でした。うちのレンタルスペースにはバレーバーを置いていまして、お客さんがそれを移動するときに不注意で割ってしまったとのこと。
現場に行ってみると、鏡の一部が完全に割れているという。今は業者に頼まずに自分で鏡を購入して貼り付けていますが、ここの店舗だけ業者にお願いして鏡を貼っていました。
修理を依頼しましたがかかった費用は6万円。お客さんに弁償してもらいましたが、修理が入るまでの1週間は鏡が割れたままの営業ということで、ほかのお客様にも迷惑がかかってしまいました。
ちょっとした備品が壊れるぐらいならダメージは少ないですが、鏡やモニターといった大きなものが壊れると大変です。
騒音クレーム
レンタルスペースを運営する上で、騒音問題にはきちんと向き合うべきです。
近隣の方の理解があった上で運営を続けられるので、まわりの人に迷惑がかかっていないかは気をつけておく必要があります。
レンタルサロンや貸し会議室であれば騒音のクレームは起きづらいですが、パーティールームやダンスができるレンタルスタジオはクレームになることがあります。
大学生10人がハロウィンパーティーやクリスマスパーティー、誕生日会のためにレンタルスペースを使う。夜18時から23時までお酒を飲みながら楽しくワイワイ。これって絶対うるさくなりますよねw
ダンスの場合はお酒を飲むことはありませんが、音楽を流したりステップを踏んだりジャンプをしたり、なにかと音が出ます。
ぼく自身、騒音クレームが原因でレンタルスペースを撤退したことがあります。
その物件はマンションタイプの建物で、半分は事務所利用、もう半分は住居として使われていました。
心斎橋という大阪の中心街でアクセス抜群、家賃が6万円台という格安で、さらに敷金礼金が0円という。即申し込みレベルの物件でした。
今振り返ると「早くこの物件を申し込みたい」という気持ちが先行して、音のチェックも甘かったんだと思います。
ぼくは横浜に住んでいるので、「せっかく大阪まで来たんだから手ぶらでは帰れない」という気持ちもあって、騒音のことはあまり考えずに申し込みをしました。
好立地だったこともあり、レンタルスペースを開業してすぐに予約がたくさん入りました。ただ、開業から1週間経たないうちに隣の部屋の人から「うるさい」というクレームが。
謝罪をして営業時間の短縮、人数制限、音を控えるように案内など対処をしました。しばらくは収まっていたと思っていたら、また同じようにクレームが発生。
迷惑をかけてまで運営することはできないという判断で、撤退を決意。2019年10月に開業しましたが、2ヶ月後の12月には撤退を決意するという超短期間での撤退劇です。
撤退について詳しく書いた記事もあるので、参考にしてみてください。
お客さん同士のトラブル
レンタルスペースは、スタッフが常駐せずに無人で運営するのが基本。
ぼくのスペースでもスタッフは置いていません。
これまであったトラブルとしては
- 前のお客さんが出てこない
- 掃除されていなくて汚い
ぼくのスペースは予約と予約の空き時間は0分。15時まで予約が入っていたとしたら、次は15時から予約が入る可能性も。
なので15時までのお客さんが1分でも退室が遅れてしまうと、次のお客さんから「前のお客さんが出てこなくて、時間になってもスペースを使えない」というクレームになってしまいます。
ぼくが運営しているレンタルスペースはけっこうな人気店。
びっちり予約が埋まることが多いので、お客さんには確実に時間を守ってもらう必要があります。
時間を守ってもらうのはマストとして、掃除もお客さんにやってもらいたい。
髪の毛やホコリで汚れたスペースを利用するのって嫌ですよね。
ダンスができるスタジオだと備品が少ないためパーティールームのように荒れることはありませんが、利用後のモップがけはしてもらわないと次のお客さんからクレームになってしまいます。
トラブルが起きたときの対処法
レンタルスペースのような実店舗を運営している限り、トラブルは避けて通れないところがあります。
大事なのは以下の2点。
- できる限りトラブルが起きないように事前に対策を立てる
- トラブルが起きてしまったらその被害を最小限に抑えるために対処する
ここを徹底すればトラブルが起きる頻度を下げ、さらにトラブルが起きてしまったとしても乗り越えやすくなります。
トラブルが起きないように対策を立てる
トラブルを100%起きないようにすることは難しいですが、起きる確率を下げることは可能です。ぼくがやっているトラブル対策を共有させていただきます。
ダブルブッキングが起きないように
もし人の手で予約管理をしている場合、ダブルブッキングが起きる可能性があります。
レンタルスペース開業当初は、お客さんから予約リクエストがあったらぼくが手作業でGoogleカレンダーに予約を入力していました。
今は完全にシステム化しています。Googleカレンダーで予約管理をしていますが、予約が入ったとしてもぼくは一切このカレンダーには触っていません。
人が触ってしまうとその時点でミスが起きる可能性が出てくる。特にぼくのようなミスが多い人間が下手に触ってしまうと高確率でミスが発生します。
電話では予約を受け付けず、ネットのみの予約。お客さんご自身でネットから予約してもらうことで、ミスが起きないようにしています。
ミスが起きないほかに、こちらの手間がかからないというメリットもあるので、予約の自動化は必ずやっておきたいところ。
スペースマーケットやインスタベースといったポータルサイトだと、Googleカレンダーの連携ができているため安心です。
ただ、自分のホームページで予約を取っていく場合、Googleカレンダー連携ができるシステムを選ばないとダブルブッキングが起きてしまいます。
注意点として、「Googleカレンダー連携できます」とうたっている予約システムもありますが、よくよく見るとGoogleカレンダー⇔予約システムの双方向ではなく、Googleカレンダー→予約システムはできない。
つまり、予約システム→Googleカレンダーへの片方向の連携しかできないようなシステムが多いのでご注意ください。
自社からの予約のみであれば片方向連携でもいいですが、スペースマーケットやインスタベースなどほかからも予約を獲得する場合、片方向連携だとダブルブッキングが起きてしまうのでご注意ください。
鍵のトラブルが起きないように
「鍵が開かなくてスペースを利用できなかった」というのがお客さんにとっての最悪の事態。
スペースを使いたいのに使えなかったら確実にクレームです。
そうならないように予備の鍵を用意しておくのがいいでしょう。
ぼくも予備の鍵を置いて運営していましたが、鍵に関する問い合わせが多く疲労していました。
そんなときに見つけたのが「キーレックス」というボタン式の鍵。
ドアに設置することで、キーボックスや鍵が不要になります。
キーレックスに変えてからは鍵に関する問い合わせがなくなりました。
費用は1万円ほどかかりましたが、運営の手間やトラブルを考えると安いもの。キーレックスに変えて本当によかったと思っています。
※ドアに穴を開ける必要があるので、その点ご注意くださいませ。
備品のトラブルが起きないように
どんなに気をつけていても、モノはいつか壊れます。
100%防ぐことは難しいですが、大切にモノを扱ってもらうよう案内するだけでトラブルの数は変わってきます。
パーティールームだとお酒が入るので、酔っぱらってモノが壊されることも日常茶飯事。
事前に「モノを壊した場合は罰金が発生します」といった案内を利用者に提示し、同意いただいた上で利用してもらう流れが理想です。
なにも案内をしないとやりたい放題好き勝手に使われてしまいやすくなるので、そういったトラブルが起きないように案内の出し方を工夫していきましょう。
騒音クレームが起きないように
こちらも同様に事前の案内が必須です。
騒音クレームが発生すると、レンタルスペースの運営が続けられなくなる可能性が出てきます。
騒音クレームが発生しやすい物件の場合、音や振動に気をつけてもらうようお客さんには厳しめに案内することをおすすめしています。
ぼくが運営しているレンタルスタジオ(騒音が心配な店舗のみ)には測定器を設置しています。
「音に気をつけてください」といったチラシを壁に貼ったとしてもなかなか見てもらえませんが、こういった測定器があると嫌でも目に入ります。
「〇db以下でご利用ください」と案内すれば騒音クレームが起きづらくなります。
お客さん同士のトラブルにならないように
「予約と予約に30分程度の空き時間を設ける」「予約ごとに掃除に入るようにする」といったことができればお客さん同士のトラブルはなくなりますが、現実問題難しい。
こちらも事前に「時間は必ず守るようにお願いします」「掃除は必ずしてください」といった案内をするようにしています。
また、事前の案内のほかにスペース内にも注意書きをしています。
ダンススタジオであれば注意書きのチラシをベタベタと貼っても違和感は少ないですが、オシャレなパーティールームやサロンの壁に注意書きを貼ると雰囲気が壊れてしまう。
かといってお客さんに案内しないわけにはいかないので、そのあたりのバランスを考えながらお客さんにお伝えしていきましょう。
トラブルが起きたあとの対処が大切
どんなに対策をしたとしてもトラブルを完全に防ぐのは不可能。
レンタルスペースに限らず店舗を運営している限り、なにかしらのトラブルは発生してしまいます。
トラブルが起きないように最善を尽くすのは大事ですが、トラブルが起きたときの対処はもっと大切。
トラブルが発生したことにより誰かに迷惑をかけてしまったのであれば、1秒でも早く対処。そして丁重に謝罪。
トラブルが起きた後の対処方法が悪く二重クレームになる例はたくさんあるので、そうならないように真摯&スピーディーに対応していきたいところ。
対応が素晴らしければ逆に評価が上がることもあるので、きっちりと対処していきましょう。
まとめ
今回は、レンタルスペース運営で実際に起きたトラブルや失敗談について詳しくお話させていただきました。
「レンタルスペースを運営する上でどういったトラブルが起きるのか予め想定し、それが起きないよう事前に対策。もしトラブルが起きてしまったら迅速に対処できるようにする」
ということを意識すれば大きな事故になる可能性もグッと低くなるでしょう。
成功事例だけでなく、今後も今回のような失敗事例もお伝えできればと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。